


「風邪のひき始めに」といううたい文句でドラッグストアにズラリと並ぶ葛根湯。誰でも一度は飲んだことがあるのではないだろうか。とてもポピュラーなこの風邪薬、実は上方落語の『ちしゃ医者』という咄のなかに、ヤブ医者の処方として登場している。
「お次の方、どうされました?」
「先生、私、頭が痛いんです」
「いけませんなァ。葛根湯をお飲みなさい。お次の方、どうされました?」
「先生、私、お腹が痛いんです」
「いけませんなァ。葛根湯をお飲みなさい。お次の方、どうされました?」
「いえ、私はあの男の付き添いで」
「いけませんなァ。ご退屈でしょう? 葛根湯をお飲みなさい」
とまァ、なんでもかんでも葛根湯。しまいにはおやつがわりに葛根湯。江戸時代にはこんな医者のことを「葛根湯医者」と呼んでいたという。だがしかし、ここでふと浮かぶのは「葛根湯って、そんなに何にでも効いちゃうの?」という素朴な疑問だ。落語のネタにまで登場する葛根湯とは一体どんな妙薬なのか。芝大門いまづクリニック院長の今津嘉宏先生に話を聞いた。