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Back to basics with drugs as ‘kampo’ cures prove effective

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2017.8.4.朝日新聞朝刊に掲載された、伸びる漢方薬「東西融合」が、2017.8.24.にThe Asahi Shinbun に掲載されました。

Back to basics with drugs as 'kampo' cures prove effective

By KUNIAKI NISHIO/ Staff Writer

The use of traditional “kampo” herbal medicines is spreading at health-care institutions.

Kampo refers to Japan’s traditional medicines that were imported from China many centuries ago.

They are aimed at improving people’s health by using simple medicines derived from plants, as well as other ingredients.

They have been scientifically recognized as having physiological effects, such as lessening the side effects of anticancer agents and also helping dementia patients more easily fall asleep.

Physicians and other health-care providers are accelerating their research to make full use of kampo medicines through the “fusion” of Western and oriental medicine.

On the evening of Aug. 3, an event to celebrate the establishment of a study group to discuss the future of kampo took place at a hotel in Tokyo.

The group was formed around the belief that the traditional medicines will greatly contribute to people’s health and medical services in the future.

Fumimaro Takaku, president of the Japanese Association of Medical Sciences, is the head of the group, which comprises 12 members, including Yoshitake Yokokura, president of the Japan Medical Association, as well as the heads of the Japan Pharmaceutical Association and the Japan Society for Oriental Medicine.

As part of the group’s activities, leaders of many medical organizations will talk about the possible use of kampo for cancer patients and the elderly. It is scheduled to hold an open forum in February 2017 to publicly present its opinions.

“What is important is combining Western medicines with kampo in an appropriate manner,” Takaku said at a news conference. “Some kampo medications have been recognized worldwide. It is essential to accumulate scientific evidence through international studies.”

ANCIENT CHINESE BOOK

An ancient Chinese book that dates back about 1,800 years ago describes how to mix plants and other ingredients to make kampo drugs.

While kampo medications have long been said to have physiological effects, few physicians could use such agents or explain the mechanisms of the drugs in detail.

Kampo medicines have been given a boost as the mechanism of how they affect patients is scientifically uncovered.

According to the Japan Kampo Medicines Manufacturers Association, 148 kinds of kampo medications are currently covered by health insurance. How about 30 of those traditional agents work has been ascertained through scientific studies.

For example, a kampo medication known as daikenchuto has proven to be effective in aiding the intestines, while rikkunshito has been reported to alleviate symptoms of those suffering from a lack of appetite caused by anticancer agents.

A growing number of reports on the effects of kampo medications have been delivered at noted academic conferences in the United States.

This has promoted understanding of kampo drugs among physicians who primarily prescribe Western medicines that are typically made of chemical compounds.

Officials of the Shiba Daimon Imazu Clinic in Tokyo’s Minato Ward said about 500 patients visit the hospital each month from across Japan. Sixty percent of those patients have cancer, and two-thirds of them are advised to take kampo medications.

“They can alleviate symptoms that Western medicines cannot deal with, relieving their suffering,” said Yoshihiro Imazu, director of the clinic.

He said treatments provided at the hospital are covered by health insurance so patients do not need to fork out a huge amount of money.

Tsumura & Co., which sells 80 percent of all medical-purpose kampo medications available in Japan, says its sales have tripled over the last 15 years.

It is difficult to always ensure a stable supply of plants used as kampo ingredients, according to the firm, so it has recently been working to use larger amounts of plants grown in Japan to make the drugs.

生理前のイライラは「血」が原因? 婦人科でもおなじみのケア

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女性特有の感情のアップダウン、 月経前症候群は漢方薬が 得意中の得意!

生理前にイライラしたり、落ち込んだり。女の人は気分の乱高下を日々体感していますよね。

「それも漢方薬は得意なんです。西洋医学で言えば、女性ホルモンの変動に関連する症状なのですが、漢方医学では『血の道症』と呼びます。『気・血・水』の血に問題がある、と考えるのです」と話すのは、芝大門いまづクリニックの今津嘉宏先生。

これもシンプル! 女性ホルモンの話はよく聞くし、多くの人が気になっているところですが、実際はホルモンのしくみが複雑すぎて、よくわかっていない人も多いんです!

「女の人は初潮を迎えて閉経するまで、女性ホルモンが大きく変動しますからね。年単位で分泌量が変わるだけでなく、2週間単位でもバランスが変化していますから、それだけ心も体も過酷な状況にあるわけです。血の問題と考えると、非常によく効く漢方薬が3つあります。婦人科でもよく使いますよ」

その3つ、ぜひ教えてください!

「ひとつは『桂枝茯苓丸』(けいしぶくりょうがん)。血の異常を改善する漢方薬で、月経前症候群から更年期症候群まで、幅広い世代の女性に効果があります。もうひとつは、『当帰芍薬散』(とうきしゃくやくさん)。これは血と水の異常をカバーしてくれるので、自律神経系の症状もある人に有効です。睡眠障害の改善にも効果を発揮します」

いずれも冷えを改善する効果が高く、女性には最適なのだとか。

「最後に『加味逍遥散』(かみしょうようさん)。これは気と血の異常をカバーする漢方薬で、不安やイライラなど、ストレス症状に効果的です」

この3つがあれば、「女の一生、安心」と言ってもおかしくない?

「人それぞれの体質もありますし、効果の出方は異なります。改善しない場合は抑肝散(よくかんさん)や五苓散(ごれいさん)、薏苡仁(よくいにん)などを適宜加えていくこともありますが、まずは漢方専門医に診断してもらうとよいでしょう」

乳がん・子宮がんのケアにも

この3つの漢方薬、心の不調だけでなく、実は女性特有のがんの治療にも使われているそうです。

「乳がんや子宮がんには、女性ホルモンに反応して増えるタイプがあります。ところがこれらの手術後に、女性ホルモン療法を行うことがあります。果たしてそれでいいのでしょうか? 僕が外科で漢方薬治療を始めたのは、その疑問がきっかけだったのです」

そこでさっきの3つの漢方薬が登場するんですね。

「漢方薬は臓器に対しても、血中ホルモン濃度に対しても、がん細胞を増やすことはありません。これは科学的にも立証されています」

漢方薬はがんそのものに対して治療効果があることと、実はもうひとつ、大切な役割があるのだとか。

「たとえば乳がんの患者さんは乳がんで苦しむのではなくて、乳がんになったことで苦しむんです。手術で乳房を失う、あるいはホルモン療法で更年期症状が出ることで苦しむんです。再発するかもしれない恐怖感でも苦しみます。この心の不調をケアできるのも、漢方薬の大きな役割なのです」
 

漢方初心者向け! 意外と知らない漢方のことQ&A②

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漢方について

ちゃんと知りたいQ&A

更年期をはじめ、加齢による〝なんとなく不調〞を感じることの多いOurAge世代。そんな症状に漢方を試してみたいという声をよく聞きます。

そこで、漢方初心者に向けて、意外と知らない漢方のことを2回に分けてわかりやすくご紹介します!

2回めの今回は、漢方の副作用についてや飲む場合の注意点など7つのQ&Aです。

お答えいただいたのは

今津嘉宏さん Yoshihiro Imazu

1962年生まれ。芝大門 いまづクリニック院長。藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應大学医学部外科学教室に入室。内科、消化器内科、外科、がん漢方、漢方内科、漢方産婦人科。著書に『89.8%の病気を防ぐ 上体温のすすめ』(ワニブックス)など多数

樫出恒代さん Hisayo Kashide

1962年生まれ。漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。漢方カウンセリングルームKaon・Kaon漢方アカデミー代表。新潟薬科大学薬学部卒業後、心と体に丁寧に向き合う漢方カウンセリングを提唱。『内側から「キレイ」を引き出す 美肌・漢方塾』(共著・小学館)

瀬戸 純さん Jun Seto

1973年生まれ。ツムラ コーポレート・コミュニケーション室 広報グループ所属。漢方製剤メーカー、ツムラにて広報を担当。ツムラでは、茨城県にツムラ漢方記念館があり、漢方の普及に努めている。一般公開はしていないが、事前予約で見学可能な場合も

Q どんな患者さん、どんな病気に漢方薬はおすすめですか?

検査で異常なしと言われるような不調や体質的な症状に効果があると言われる漢方。

「漢方のカウンセリングでは、いろいろな話を聞いたり、舌を診たりして、心身の状態から原因を探っていきます。西洋医学では対応できない不調などには特にいいのではないでしょうか」(樫出恒代さん)

もちろん、風邪や便秘、食欲不振や頭痛などの症状をはじめ、冷え症、のぼせ、PMS(月経前症候群)、更年期症状など女性に多い悩み、最近では抗がん剤の副作用軽減などにも、多く用いられるようになっています。

Q 漢方は体に優しいイメージがありますが、副作用などはありますか?

漢方薬も医薬品ですから、副作用があります。体質やタイプ、症状に合わないものを使ったり、量を多く飲んでしまったり、ほかの薬との組み合わせが悪かったりすると、熱やじんましん、動悸やむくみが出ることも。

甘草の副作用として、血圧が上がって、むくみがでるほか、低カリウム症になることも知られています。また葛根湯でも過剰発汗を引き起こす例も。

「効き目があるということは、副作用の可能性もあるということを意識して服用することが必要ですね。漢方だからと油断は禁物。服用は医師の指示に従い、異常を感じたらすぐに相談するようにしてください」(今津嘉宏先生)

Q 処方薬と一般薬の違い、煎じ薬、粉末、錠剤と形状の違いによる効き目の違いはありますか?

「漢方薬の形状による効果の違いは、ほとんどありません。医師の処方は、成分が一定ではっきりとわかるエキス顆粒製剤のものが中心ですね」(今津先生)

また、医師の診断のもとで処方される医療用漢方製剤、薬局やドラッグストアでセルフで購入できる一般用漢方製剤、薬剤師が調合する刻んだ生薬などの薬局製剤があります。薬の種類によっては、一般用漢方製剤は、成分の濃度を抑えた効き目のマイルドなものもあります。

Q 長く飲まないと効かないのでしょうか? 効果はどれくらいで感じますか?

漢方=長期、というイメージがあるようですが、即効性のあるものも。葛根湯のように飲んだ直後から効果を感じるものと、体質改善など長期間飲むことで効果を感じるものの2タイプあります。私は即効漢方とじっくり漢方と呼んでいるんですよ」(樫出さん)

慢性疾患などは体質を変えていくことで徐々に健康体へと導くため、長期間続けるほうが効果的。

まずは2週間を目安にして。2週間くらい続け、体質が変わってきたと感じたら、漢方薬の種類を変える場合もあるので、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

Q 漢方治療を受けたいのですが、どこで相談したらよいでしょうか?

今や多くの病院や診療所で漢方薬を治療に使っています。試してみたい場合は、医師に漢方薬の使用を相談してみましょう。基本的には保険も利きます。住まいの近くの漢方専門医は、日本東洋医学会(※)のホームページで調べられます。

薬剤師の判断のもとに独自の漢方薬を調合する漢方薬局もあります。いずれにしろ、症状や体質などを診るためのカウンセリングを、じっくりしてくれるところを選んで。

〈漢方関連のサイト〉

・日本東洋医学会(※)www.jsom.or.jp/
・漢方のポータルサイトwww.kampo-view.com

Q 更年期症状にいいと言われるのはどうして?

ホルモンバランスの変化によって左右される女性特有の悩みに効果を発揮すると言われる漢方。特に、更年期は体の中を巡る「気」「血」「水」のバランスがくずれやすくなり、ほてりやのぼせ、発汗や睡眠障害、無力感など、人によってさまざまな症状が現れるもの。

症状や体質に合わせた漢方薬は、更年期の症状をやわらげるのにぴったり。医師や薬剤師によく相談して、自分に合った漢方薬を処方してもらいましょう。

HRT(ホルモン補充療法)と併用もできるので、更年期を快適に乗りきるためにもっと漢方を活用しましょう。

Q 漢方薬を飲む場合の注意点はありますか?

「漢方薬は食前の空腹時に飲むのが基本です。朝起きてすぐ、午後3時頃、寝る前、の3回など。胃に余分なものが入っていないので、吸収されやすくなるからです。エキス顆粒製剤の場合は、白湯でそのまま飲むか、ぬるま湯に溶かして飲むと吸収がよくなります」今津先生)

煎じ薬は、煎じた分はその日に飲みきるのが原則。人肌程度の温度にして飲むのがおすすめです。いずれにしても、自己流で量を増やしたりせず、決められた用量、用法を守って。異常を感じたら、医師や薬剤師に相談してください。

撮影/恩田はるみ スタイリスト/石井くみ子 構成・原文/近内明子

「100歳まで元気な人」はやっている? たった3つの意外な長寿法

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全国の100歳以上の高齢者の人数が6万人を超え、日本の長寿人口は驚くほど増えている。100歳まで健康に生きられる長寿法はあるのか。あるとしたらそれはいったいどんなものなのか。専門家の意見を聞きながら考えてみよう。(取材・文/大場真代 編集協力/プレスラボ)

日本の100歳以上人口が6万人超え
彼らの「長寿法」はいったい何?

 6万1568人――。

 この人数が何を示すか、おわかりになるだろうか。厚労省の昨年の調査で、全国の100歳以上の高齢者が6万1568人となり、過去最多となったのだ。

 100歳以上の人口は1971年(339人)から45年連続で過去最多を更新しているが、6万人を超えたのは今回が初。老人福祉法が制定された1963年(昭和38年)には、その数は全国で153人だったが、1981年(昭和56年)に1000人を超え、1998年(平成10年)には1万人を超えた。白寿を超えることは、昔よりも珍しいことではなくなってきている。

 そこで気になるのが、100歳を超えるまで元気な人たちは、いったいどんな健康法を行なっているのか、ということだ。必ずしも全ての人が「100歳まで生きたい」と思っているわけではないだろうが、前述のような報道を見て、「自分も100歳まで生きることができるのだろうか」と考えた人は少なくないだろう。

 100歳まで生きられる長寿法はあるのか、あるとしたらそれはいったいどんなものなのか、調査・考察してみよう。

「過去のデータで、確実な記録がある史上最高齢は、フランス人女性(故人)の122歳164日です。日本人では現在、今年116歳になる女性が最高齢です。こうしたことから考えると、現時点での寿命の限界は110~115歳くらいでしょう」

 こう話すのは『115歳が見えてくる“ちょい足し”健康法』(ワニブックス)などの著書がある、芝大門いまづクリニックの院長・今津嘉宏医師だ。

 しかし、100歳が珍しくなくなったとはいえ、いくら長生きをしても寝たきりのままでは幸せな老後とは言えない。平均寿命が80歳の今、その後の30年間を寝たきりの生活ではなく、人生を楽しむ時間にあてるためにも、「健康のまま寿命を全うできるか」が問題になってくる。いわば「健康寿命」だ。

 実際に、厚労省が発表した100歳以上の高齢者調査を見ても、ゴルフをやったり歌を歌ったりするなど趣味を楽しんでいたり、自分で身の回りのことをすべて行っていたりと、元気に過ごしている人が多いことがわかる。中には、100歳超で100メートル走の世界記録を持つ人さえいる。このような人たちの暮らしを見ると、健康のまま寿命を全うすることは不可能ではないことがわかってくる。

 とはいえ、「そういう人は遺伝的に長生きなのでは?」と思う人も少なくないだろう。癌にかかる人は日本人の2人に1人、今後ますますその数は増えてくると言われるなか、健康で長生きするのはとても難しいことのように思える。しかし、今津医師は言う。

「昔は長生きする人は遺伝が関係していると言われていましたが、あまり関係ないことが最近の研究でわかってきました。厚労省の統計でわかった長寿の方の共通点は、精神的に明るく、そして規則正しい生活をしていることだったのです」

 一般的に「健康に気をつける」というと、お酒やたばこを控えるのはもちろんのこと、ファストフードや西洋的な食事も控える、定期的な運動をする、ストレスを極力減らす、といったことを想像しがちだ。しかし長寿の人は、実は特別なことは何もしていないことが多いという。

「お酒やたばこが大好きな人もいますし、お肉が好きで毎日のように食べている人もいます。実際、現代の生活の中で『健康リスク』と言われていることを一切除外するのは難しいでしょう。特に働き盛りの40代くらいであれば、ストレスはないほうがおかしいくらいです。自分自身の普段の生活の中で無理のない方法を取り入れていくことが、長生きのためには大切なのです」(今津医師)

「遺伝と長生き」は関係なし?
健康寿命を延ばす3つのポイント

 では具体的にどのような方法が、心身ともに健康に動ける寿命である「健康寿命」を延ばすことができるのか、今津医師は「上体温」「食事」「睡眠」の3つがカギになると話す。

 順番に、まず「上体温」から説明していこう。「上体温」とは、端的に言って体温を上げること。今津医師が説明する。

「私が小さい頃、おばあちゃんから『身体を冷やしちゃダメだよ、風邪をひくし、病気になるよ』とよく注意されました。シンプルな意見ですが、身体が冷えると実際に病気になりやすいことがわかっています。逆に、体温を上げることで、87.796%の病気は防ぐことができます。 体温を上げることで防げる病気というのは、糖尿病や高脂血症、高血圧症、痛風、心臓病、肥満、認知症、脳血管疾患、うつ病、がんなどの生活習慣病。つまり冷えは万病のもと。身体を常に温める生活習慣を送ることで多くの病気が防げます」

「身体が冷えるにつれ、脳神経の活動が休息状態になることがわかっています。つまり、これは身体が冷えると脳自体が働くなって、命の危険に晒されるということ。また、身体を冷やすことで、身体の細胞の働きも低下し、免疫力も低下します。冬に風邪を引きやすくなるのもそのためです。普段から身体を温めるような食材を積極的に摂るなど、自分に合った体温を上げる方法を身につけてみましょう」

朝イチの飲み物と普段の食事で
まずは「体温」を上げるべし

 具体的にどのくらい体温を上げるか、それは平熱が35度の人は35.1度、36度なら36.1度というように、平熱を基準に体温を上げればよいそうだ。

 そのために行うことは2つある。

(1)朝起きて飲むものに気をつけること

 人間の身体の60~70%は水分でできているため、寝ている間に失われた水分を補給するのは大事だが、それを冷たいものでなく温かいものにするのがいいという。

「朝起きたてで冷たいものを飲むと、胃腸を冷やし、消化能力を下げてしまいます。冷たい水を飲むのを健康法にしている人は、その前に運動して身体を温めるなど、必ず何か他の習慣がセットになっているはずです」(今津医師)

 人間の体温は起床時が最も低く、だいたい深部体温は37度ほど。常温の水であっても冬ならそれ以下になっているので、少し温めてから飲むのがよいだろう。

(2)身体を温める食材を摂る

 身体を温める食材というと、唐辛子などの辛いものを思い浮かべるかもしれないが、唐辛子には発汗作用があるため、結局身体を冷やしてしまうことになる。激辛料理が南国で発達してきたのもそのためだ。身体を温める食品はネギ、ショウガ、にんにくの3つ。

「アメリカ国立がん研究所が、長年の疫学的研究データに基づいたがん予防に効果のある食品を『デザイナーズフードピラミッド』として1990年に発表したものにも、がん予防に最も効果のある食材の中にショウガとにんにくが入っています。また、寒い季節や寒い地方で採れる食品、特に根菜などは身体を温める作用があります」

よい食べ物も睡眠も
とり過ぎてはダメな理由

 次に「食事」についてはどうだろう。

 身体を温める食材を摂る以外では、何が重要か。それは「過ぎたるは及ばざるがごとし」。どんなものでも摂りすぎに注意する必要があるという。

「身体にいい食品に関して一番有名な研究で、カボチャやにんじんに含まれる『β-カロテン』というビタミンの実験があります。試験管やネズミの研究では、β-カロテンを摂ると、がんが発生しなくなるというデータが出たのですが、これを受けてβ-カロテンを3倍量飲ませた治験を行うと、肺がんの発生率が3倍に増えたというのです。よかれと思って摂取しているものも、このように摂りすぎるとかえって病気を引き起こしてしまうこともあるのです」(今津医師)

 健康にいいと言われているサプリメントやトクホなども同様。これらはあくまでも「食品」。どんなに摂っても病気を治すことはできないし、同じものを食べ過ぎれば病気になる確率も高くなってしまう。だからこそ、どれか1つのものを摂るよりも、バランス良く、自分に合った食生活を心がけることが重要なのだ。

 そして、健康でいるために最も重要なのが「睡眠」だ。日本人の平均睡眠時間は7~8時間だが、長く寝れば寝るほどいいかと言えば、そうでもないのだという。睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」「中途覚醒」の3種類がある。レム睡眠は、身体は眠っているのに脳は起きている状態、つまり夢を見たり寝返りを打ったりしている状態を言い、ノンレム睡眠は深い睡眠で脳も休息している状態、中途覚醒は途中で眼が覚めてしまうことだ。この3つを組み合わせて、私たちは睡眠を取っている。

「健康寿命を延ばすには、ノンレム睡眠を増やす必要があります。ノンレム睡眠には、心と体を休めること、記憶することと忘れること、成長ホルモンを分泌する、免疫力を上げるという4つの役割があります。とはいえ、睡眠時間が長すぎるのもNG。平均的な睡眠時間7~8時間の人に比べると、5時間未満の人は糖尿病になる確率が2倍以上になり、9時間以上だと1.8倍になるというデータもあるのです」(今津医師)

 休みの日は、疲れを取ろうとつい「寝だめ」をしてしまいたくなるが、睡眠時間を長く取っても、健康寿命を延ばすノンレム睡眠の時間が増えるのではなく、ノンレム睡眠と中途覚醒が増えているだけだ。つまり「長い睡眠=よい睡眠」ではないため、長時間の睡眠でも糖尿病になる確率が上がってしまうのだという。

「つまり、睡眠は長さではなく質。たとえ1時間しか寝られない日があってもいいのです。勉強したことを暗記するためなのか、それとも嫌なことを忘れるのか、身体を休息させるのか、その時々で寝る目的が果たせれば、質のよい睡眠がとれたと言っていいでしょう」(今津医師)

 そのために大切なのが、起きる時間を決めること。人間の身体は太陽の光を浴びると覚醒のスイッチが入る。さらに朝食を取ることで、身体中の睡眠スイッチがオフになり、身体のリズムも整ってくるという。

「健康にとっては食事も大切ですが、睡眠はもっと大切です。運動ができない環境や、お酒を断ることができない環境にあるなら、睡眠に投資することを考えたほうがいいです。寝具を整えるだけで、睡眠の質はかなり変わってくると思います」

 と、ここまで「上体温」「食事」「睡眠」と健康に欠かせない三要素について解説してきたが、最後に大事なのは三日坊主にならない習慣を身につけることだと、今津医師は言う。

「面倒なこと」はやらない
100歳まで生きるためのヒント

「嫌いなものを食べたり、ライフスタイルに合わないことを実践したりして三日坊主になるよりも、自分に合ったものを取り入れて習慣にできる方法を少しずつ増やすほうが、長生きできます。長寿の方たちが特別なことをしていないというのは、普段の生活の中に健康になる要素がたくさん含まれているから。115歳まで元気に長生きするためには、自分にとって面倒だと思うことではなく、無理なく取り入れられる方法を見つけること。無理のない範囲の健康法を身につけ人生をエンジョイすれば、115歳まで生きることも不可能ではありませんよ」

 自分に合った健康法を無理なく楽しく続けること。どうやらこのあたりにヒントがありそうだ。もちろん、ここで紹介した長寿法を実践すれば必ず100歳まで生きられとは言い切れないが、健康が気になる向きは参考にしてみてもいい。また、身近に長寿な人がいたら、そのライフスタイルを聞いてみるのも面白いかもしれない。

大場真代