コラム

アレルギー疾患、高齢者疾患、婦人科疾患、皮膚科疾患などに渡って用いられ、いまや最先端医療のひとつとして世界的に評価されている漢方治療。「体・心・肌」の不調を治す漢方薬は、うつ病や認知症、睡眠障害といった精神的な病気や症状に対しても有効であることがわかっている。
こころの不調に対し、どのように漢方医療が関わっているのか、「芝大門 いまづクリニック」院長の今津嘉宏さんのセミナーに参加して話を伺った。
外科医としてキャリアをスタートした今津さんは、がん治療に携わる中、抗がん剤や放射線治療による副作用に苦しむ患者を目の当たりにして、その解決法を模索する中で漢方を学び始める。婦人科領域に漢方医学を取り入れていた産婦人科医の村田高明さんに師事し、漢方医学の基礎を学び、外科学と漢方医学の融合を目指してきた。
「こころはどこにあるか難しい。精神的なものは脳だろうし、機能としては心臓になる。現代医学的にこころの不調を考えると、こころは神経系、免疫系、内分泌系、からだは循環器系、呼吸器系、消化器系と細分化されてしまう。
こころの不調を西洋医学で治療するとなると、精神科、心療内科、免疫系、内分泌系、産婦人科など、原因を探るにはいろいろな科に行かなければならない。西洋医学の考え方だと、本来のあり方からどんどん遠ざかってしまうイメージがある。
対して漢方医学はとてもシンプルな考え方だ。漢方薬の観点からこころを見ると『気』というひとつの言葉で表現できる。こころに関わるものは『気』のほかに『血』『水』があり、この3つに関連している薬を処方すればよい。漢方治療をしながら、必要であれば専門医療機関へ紹介することができるので、漢方薬は漢方医療と西洋医療のキャッチボールするためのハブとしての役割があると思う」
◆自律神経に作用する漢方薬
脳でこころに関わるのは、感情、情緒、理性。漢方では「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」の7つの感情の変化をいう。
ストレスや怒りを感じたとき、アロマやヨガ、運動、入浴など人それぞれに気分転換があるが、気分の切り替えがうまくできず、脳を休めることをさせないと、うつ病になる可能性がある。現在ではうつ病は生活習慣病のひとつになっており、こころが疲れたために脳に負担がかかり起こるといわれる。漢方医学では「気」に問題にある状態なので、気を改善する薬を使う。
代表的なものは「蘇葉(そよう)」、これは赤シソの葉で、気を調整するときに使う漢方薬の原料。殺菌作用だけでなく気分を調整してくれる薬として使うことができる。蘇葉が入っている漢方薬が「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」。
「陳皮(ちんぴ)」とはみかんの皮で、「枳実(きじつ)」は熟していない状態のダイダイなどの果実。両方とも気を巡らせるときに使う薬草で「香蘇散(こうそさん)」に使う。香蘇散には蘇葉も含まれている。「桂皮(けいひ)」はシナモンのこと。このように日常生活でも摂れるような材料を漢方は取り入れている。
こころの中で神経系の中心となるものが、交感神経と副交感神経で、自律神経とは交感神経と副交感神経の両方のバランスを指し、自律神経のバランスが崩れると体の調子や、精神的な不調を訴えるようになる。
交感神経はアドレナリン、副交感神経はアセチルコリンというホルモンが働いている。交感神経が働いているときはいわば戦闘態勢で、心拍数が早くなる、呼吸が荒くなる、手に汗をかくなどの状態が起こる。血管を収縮し血流を下げているので手足が冷える。副交感神経が働いているときは、呼吸が穏やかでリラックスした状態になり、ねむくなったり、空腹を感じたりする。血管を広げて血流を良くするため手足は温かくなる。
漢方医学では「気・血・水」の中でも水のバランスを良くすると、自律神経のバランスは良くなる。めまいやふらつき、耳鳴り、頭痛、足のむくみ、冷えは漢方医学でいうと水のバランスが悪い=自律神経のバランスが悪いということになる。この治療に用いるのが「五苓散(ごれいさん)」。五苓散は「猪苓(ちょれい)」「茯苓(ぶくりょう)」「蒼朮(そうじゅつ)または白朮(びゃくじゅつ)」「沢瀉(たくしゃ)」「桂皮」の5種類の生薬から成る。
◆認知症、アルツハイマーに作用する漢方薬
急激に高齢化社会が進む日本では、2020年には65~75歳よりも、75歳以上のパーセンテージの方が上回る。平均寿命が長くなると浮上するのが健康寿命の問題で、認知症の中でも増加するアルツハイマー型認知症に対する対策を見直す必要がある。
「抑肝散(よくかんさん)」は、夜泣きや疳の虫に処方されてきた漢方薬で、英語ではメンタル・コントロール・メディスンと呼ばれるように、感情、理性を調整してくれる作用があることが近年の研究で判明している。
抑肝散はうつ病、メンタルケアだけでなく、認知症における行動、心理症状に伴う各症状を改善するという治療効果が報告されている。アルツハイマー型認知症の薬物治療に用いられる薬は、副作用として日常生活動作(ADL)に支障をきたし、つまずいたり、転びやすくなるが、抑肝散はそれを起こさないということがわかっている。
また、現在がん治療を行っている患者にも漢方を処方されることがあるが、これは抗がん剤の副作用の軽減や生活の質(QOL)を良くすることが目的で、免疫や全身症状を改善させるという意味で使われている。
CDDP(シスプラチン)という抗がん剤の副作用は腎機能障害で、がんは治るが副作用で苦しむケースも多い。CDDPを投与された患者に、漢方薬を併用したところ、腎臓の機能を低下させずに抗がん剤としての効果は減らしていないことがわかった。こういったデータを提示して、実際の現場でも漢方薬を処方している。
免疫機能は人間の体は外から入ってくるものを取捨選択して、受け入れていいものか毒なのかを分けているが、ジャッジするのが腸管免疫。舌で味覚を確かめる、強い胃酸で菌を殺す、小腸、大腸で良いものと悪いいものを仕分けるなど、腸管免疫は体を守る防御機能になっている。
腸管免疫には腸内細菌が関係しているが、昔の人は腸内細菌に関係する薬は、腸管免疫にも作用すると知っており、腸管免疫に働く漢方薬が生まれた。漢方では気の分類に入り、消化器を調整する薬としては薬用人参をメインに他の漢方を組み合わせたものを使う。
◆性ホルモンに作用する漢方薬
男性と女性ではホルモンの変化が異なり、2週間単位で女性はホルモンバランスが変わり、男性と比べて変化の大きい女性ホルモンが精神的にも大きな影響を与える。
女性ホルモンは物忘れ、認知症、脳血流、アルツハイマー、更年期症状など、脳に影響を及ぼすホルモンといわれている。精神的な要因が大きい拒食症の比率を見ると女性は男性に比べると10倍になっている。うつ病は男性に対し女性は2倍、認知症は3倍だ。
漢方薬を処方する場合、同じ症状でも男性と女性では処方する薬が違うという。女性は「血の道症」といった、月経前症候群、出産後母体症候群、更年期症候群といった女性ホルモンの変化による症状が出ることも多い。こういった場合は「血(けつ)」に働く漢方薬が処方される。
女性ホルモンに作用する薬は3つあり、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は「血(けつ)・水」の異常に働き、記憶学習能力、睡眠の改善、卵巣機能、免疫機能を改善する。「加味逍遥散(かみしょうようさん)」は「気・血」に働き、更年期障害を改善する。「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」は「血」に働き、冷えやのぼせを改善する。
漢方医学の本場は中国だと思われているが、漢方医学は日本で培われた日本独自の医学体系で、中国の伝統医学である「中医学」や韓国の伝統医学「韓医学」とは、診断方法や治療法が全く異なるという。また、西洋医学と漢方医学の双方を一人の医師が処方できるのは日本だけだ。
漢方薬は改善が見られなければ変えることができ、2週間、早い時は3日で変えることもあるという。漢方薬はずっと続ける必要はなく、良くなったらやめてよい。
漢方薬は全身状態を改善しながら、悩んでいる症状も改善するような効き方なので、ドクターショッピングをしても改善が見られないと悩む場合は、漢方医学の専門医師に相談してみるのも手段として有効ではないだろうか。漢方薬は保険医療が適用されるので、医師にかかれば保険で処方ができる。
文/阿部 純子
働き盛りの女性たちが死亡するがんのトップは、乳がんです。女性たちが乳がんで苦しまないようにするために、乳がんについて正しい知識を持つことが大切になります。そんな強い思いのひとつとして、2015(平成27)年7月4日(土)東京国際フォーラム ホールD7にて、第23回日本乳癌学会学術総会 患者セミナーが開催されます。
座長は、北里大学病院乳腺・甲状腺外科の谷野裕一先生です。谷野先生とは約20年前、一緒に勉強をした仲間です。このセミナーへの参加は無料です。ぜひ皆さん、ご参加くださいね。
医師として働く中で、常にがん診療を中心に行い、乳がんの患者さんも数多く診察させていただいております。私のクリニックには、乳がん治療による体調の悪化や薬の副作用などのいろいろな悩みを抱えた方がたくさんいます。
ホルモン療法の副作用によるホットフラッシュや筋肉痛、関節痛など、はっきりとわかる症状の場合はいいのですが、言葉にできないような不調や気分の変化などで悩んでいることが多いようです。主治医へ相談しても、取り合ってもらえず、ひとりで苦労している方がまだまだたくさんいらっしゃいます。自分ひとりで考え、悩んでも解決できないことが、たくさんあると思います。そんな方に少しでも明るくなってもらおうと企画された催しがあります。
日本乳癌学会は7月5日、東京都江東区のシンボルプロムナード公園で、ランニング&ウォーキングイベント「RUN&WALK for Breast Cancer Survivors」を開催し、同日11時10分から、公園特設ステージで、乳がん体験者の皆さんによるファッションショーが行われます。実際に乳がんを経験した人たちが、自分たちの手で作り上げたファッションショーです。どうか、多くの皆さんに楽しんでもらいたいものです。
関連記事:日本乳癌学会、ランニング&ウォーキングイベント初開催…7月5日
元気で、明るい女性が、活躍できる日本をつくるためにも、乳がんを早期発見、早期治療する必要があります。20歳でも乳がんになる危険性があることを知ってもらい、日頃から、自己検診をされることをお勧めします。
どうか、皆様が、いつも元気で明るい毎日を送ることができますように、心からお祈りしています。
私の通勤路にある東京・港区の芝大神宮(http://www.shibadaijingu.com)では、6月30日に「
大祓式(大祓神事)とは、日々の暮らしの中で知らず知らずのうちに犯したであろう罪や過ち、心身の
芝大神宮のことは、以前にもご紹介させていただきました。毎朝、芝大神宮の前を通ると、多くの参拝者が、頭を垂れている姿を見ることができます。その真摯(しんし)な姿に、私は、いつも心を打たれます。
神社で行う二拝二拍手一拝(http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/sanpai/)は、慣れていないとうまくできませんね。芝大神宮の名誉宮司勝田勇さんに伺ったところ、この参拝の作法は、「平安時代、目上の人に会ったときの挨拶方法」だったのだそうです。神社を参拝するときは、しっかりと、神様へ挨拶ができるといいですね。
夏至(今年は6月22日)を過ぎると、夏がやってきます。毎日の生活で、体調管理に気を配る必要があります。とくに、バスや電車に乗るとき、冷房で体調を崩すことがあります。外は暑いのですが、冷房が利いた乗り物で汗が冷え、体調が悪くなることがあるからです。こんな時は、冬の防寒方法を応用しましょう。首回りを冷やしてしまうと、首や肩がこる原因になったり、寒気がして風邪を引く原因にもなります。
防寒方法は、簡単です。首の後ろに薄いハンカチ1枚を巻きましょう。直接、冷房の風が、首筋に当たることを防ぐことができます。
暑い季節、皆様が元気で健康な毎日を過ごされることを心からお祈りしております。
名古屋方面の皆様へ、ご案内です。7月15日(水)午後1~2時、JR名古屋駅前にあるウインクあいち(愛知県産業労働センター)にて、「睡眠と生活習慣病」と題して、睡眠と生活習慣病との関係を中心にお話しさせて頂きます。入場は無料です。事前に申し込みをされて、ぜひ、ご参加くださいね。お待ちしております。(http://www.kyoto-nishikawa.co.jp/news/news20150705.html)
高校の同級生で作家のドリアン助川くんが、一足先に誕生日を迎えたという情報が、ソーシャルメディアを通じて入ってきました。最近、ソーシャルメディアから毎日のように情報が入ってきます。その中でも、ドリアン助川くんの誕生日を忘れていた私は、懐かしい友人の誕生日を知らせてくれたソーシャルメディアの働きに、心から感謝しました。
テレビをほとんど見ない私にとって、ソーシャルメディアは、貴重な情報源の一つになっています。リアルタイムに知らせてくれる情報の中には、大切なものもそうでないものも含まれています。
ちょっと知りたいことを調べるだけでなく、過去に自分が調べたことを覚えていて、次々と情報を送ってくれる機能があるようです。携帯電話でもパソコンにも調べたい言葉の頭文字を入力するだけで、すぐに以前に調べた言葉を表示してくれる機能があります。
例えば、みなさんの携帯電話に、「ど」と入力してみてください。どんな言葉が候補に、あがってきますか。「土曜」「どらえもん」「ドラマ」など、さまざまだと思います。以前に一度でも調べたことがある言葉が優先して候補のあがってくるようにプログラムされているからです。ちなみに、私のパソコンですと、「毒」「ドーピング」や「ドリアン助川」などがでてきます。面白いですね。
しかし、この携帯電話やパソコンが与えてくれる情報には、注意が必要です。というのも、なりすましやオレオレ詐欺と同じように、知らないうちに惑わされてしまう危険性があるからです。
携帯電話やパソコンの検索には、いろいろな仕掛けがされています。その中でも、がんに関する情報には、わらにもすがりたい気持ちを利用して、お金もうけを企んでいる人たちの情報も混ざっているからです。
私が所属している日本緩和医療学会(2015年6月18日~20日、パシフィコ横浜で、第20回日本緩和医療学会学術大会が、開催されています)では、多くの人たちへ、がんに関する情報を正しく伝えるためのさまざまな活動を行っています。
「がんによく効くサプリメント」「がんが治る健康食品」など、本当に多くの情報が、テレビやラジオを通じて、流されています。そして、最近、特定保健用食品に加え、機能性表示食品という新しい表示方法が、始まりました。ちょっと、考えただけでは、本当に良いものは、何かを選ぶことは難しいと思います。
日本緩和医療学会では、補完代替療法ガイドラインを誰にでも活用できるように公開し、情報提供しています。現在は、第2版の作成を進めているところです。また、日本補完代替医療学会も、「がんの補完代替医療ガイドブック」を提供しています。
ぜひ、お金儲けのための情報や、オレオレ詐欺に近い間違った情報に、惑わされないように、みなさんは気をつけてください。
最後に、ドリアン助川くん原作の映画「あん」が、日本全国で公開されています。お時間があるとき、心に栄養のエキスを与えるために、足を運んでみてはいかがでしょうか。この情報は、信頼がおけるものですよ、私が保証します。みなさんが、毎日を元気で健康に過ごされることを心からお祈りしています。
ドリアン助川くん、誕生日おめでとう。
皆さんは「漢方」治療を受けたことがありますか?
先日、ふみっちーは漢方アンバサダーズ主催(後援 ツムラ)の「まだ、あなたが知らない“漢方”2015」セミナーに参加してきました。漢方の正しい知識と最前線情報を学べるセミナーということで、じつに興味深い内容だったんですよ★
「こころの不調と漢方治療」をテーマにレクチャーしてくださったのは、芝大門いまづクリニックの今津嘉宏院長。
もともと外科の先生で、20年前に「治療に行き詰まったがん患者に漢方でのアプローチが功を奏した」ことが、漢方を深く学ぶきっかけになったのだとか。現在は、婦人科をメインに漢方を取り入れているそうです。
「こころの病で医療機関を受診しようとすると、現代医学では、複数の科での受診が必要になることもあります」
神経系、免疫系、内分泌系、循環器系……うーん、確かに。西洋医学的分類で書き出していくと、病の原因がどこからなのか、細かく分かれますよね。それによって受診科が変わることもあるわけです。
「それが、漢方医学だとじつにシンプル。
アプローチをするのです」
たとえば、うつ病。現代医学では神経系や免疫系、内分泌系と関わりがあるとされ、さまざまな治療薬が用いられています。しかし、そのほとんどに副作用があると言われています。また、薬も種類が多いだけに、自分に合った薬が見つかるまで、大変そうですよね。
「漢方医学では、うつ病は〈気〉に問題がある状態と考えます。〈気〉を補う、あるいは調節する、巡らせる漢方薬を処方するのです。
補うときは〈人参、黄耆(おうぎ)〉
調節するときは〈厚朴(こうぼく)、柴胡(さいこ)、蘇葉(そよう)〉
巡らせるときは〈陳皮(ちんぴ)、枳実(きじつ)、桂皮(けいひ)〉
を使います」
近頃はプチうつなど、「病院に行くほどではないんだけど」という不調を抱えている人も多いようです。そんな人にも、漢方はうってつけではないかしらん。
会場には漢方薬の原料となる生薬が展示されていました。
ふみっちーが知っているものもありましたよ♪
会場内が笑いと驚きのどよめきに包まれたのは睡眠について。
そうそう、なかなか寝付けないとか、ふみっちーも不眠には少し悩まされてるんですが…
ホントですか〜〜〜???(笑)
それだけ、睡眠はきちんとわかっていないのだそうです。
「睡眠で大事なのは頭を休息させること。
漢方では、メンタルコントロールメディスンとして抑肝散(よくかんさん)を用います。
生活習慣病、メタボリックシンドロームが進行してドミノ倒しのように次々と病気を引き起こしてしまう“メタボリックドミノ”のスタート地点、川上のほうに、睡眠があります。質の良い睡眠を取ることは、健やかに歳を重ねるためにとても重要なことなのです」
女性は、ホルモンの関係で男性よりもあらゆる病気のリスクが高いというお話もうかがいしました。
拒食症は男性1に対し、女性は10倍
こ、これは……。女性の方がうつ病リスクが高い、などと聞いたことはありますが、ここまでとは。
女性ホルモンってデリケートでスゴいものなのですね。再認識。
「そんな女性のために、また特に婦人科系の症状によく用いられている漢方薬が、
血と水のバランスを整える〈当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)〉
気と血のバランスを整える〈加味逍遥散(かみしょうようさん)〉
血のバランスを整える〈桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)〉
です」
漢方薬は1人ひとりの身体のバランスに合わせて処方し、2週間くらいで改善の実感があるそう。早い人では3日でもわかるとか。
速効性がみられるものもあり、改善がみられなかったら、ほかの漢方薬に変えることもあるのだそう。
そうなんですよね、実はそれは知っていました。
ふみっちーは花粉症なんですが、そのとき処方された漢方薬を飲んだら、10分で鼻水が止まったことがあります。
漢方のスゴさを思い知った瞬間でした。
「漢方薬はずっと服用し続けるものだと勘違いされている方もいらっしゃるようですが、改善したら、服用は終了です」
保険適用となるものもあるのも、ウレシイところですよね。
ツムラの漢方薬が出来るまでの展示もありました。調合品からエキス顆粒、製品となるわけですね。
ツムラのホームページには、薬局で買える漢方薬のほか、漢方に詳しい病院や医師の検索サイトの紹介もあります。もっと漢方について知りたい、漢方薬治療を受けてみたいと思った方は、早速チェックしてみてくださいね♪
1年の半分が過ぎようとしています。みなさんにとって、2015(平成27)年の前半は、いかがでしたでしょうか。わたしは、毎日の診療にたずさわりながら、いろいろな人との出会いをいただき、多くのことを学んだ時間でした。
みなさんは、1日に、何人の人と会話をしますか。家族との会話、仕事場での会話、内容もさまざまだと思います。ひとり暮らしで1日だれとも会話をしないという方もいらっしゃるでしょう。私は、毎日、30人以上の人と話をさせてもらっています。その中には、おしゃべり上手な人、口が重い人など、いろいろな人がいらっしゃいます。私の仕事は、そんな人たちの話を聞くことが中心です。
先日、外来にお見えになった70歳過ぎの女性Tさんは、診察室のいすへ腰掛けるなり、これまでの自分の病気の経過について話し始めました。30歳半ばから患った背中の痛みで来院されたTさんは、これまでに大学病院や有名な整形外科の病院など、さまざまな医療機関を受診されてきました。数年前には、「気のせいだろうから精神科を受診しなさい」と言われ、何年もの間、自律神経失調症という診断名で薬を飲んでいたそうです。しかし、一向に良くならなかったのです。
背中の痛みを訴えると、家族にも嫌な顔をされるため、家の中では自分の症状をずっと黙っていました。
友人のご紹介で、私のクリニックへ来院されました。初診の時、Tさんは座るやいなや30分以上話し続けました。病気の話に始まり、話の後半では生まれたころの話、生い立ち、結婚の苦労話や死別した伴侶の話など、人生そのものの話になりました。
今回の受診とはかけ離れた内容の話になってきましたので、私は「すみませんが、そろそろ、診察させてもらってもいいでしょうか」と声をかけさせてもらい、無事、診療が終わりました。
数週間してから、再び、Tさんが外来へお見えになりました。前回の治療のお陰で背中の痛みが消えたことがうれしかったのでしょう。今度は、どうしてこれまでの医療機関では治してくれなかったのか、と再び、これまでかかった医療機関の話が始まりました。今回は20分程度で話が終わり、「ありがとうございました」とお辞儀をして、お帰りになりました。
そして1か月後、Tさんは「あの痛みは、なんだったんでしょうね」と笑みを浮かべ、数週間の出来事を簡単に話し、満足した様子でお帰りになりました。
Tさんから、これまで受診した医療機関では、自分のことを理解してもらえていないと感じていたこと。いつも、担当医へ、思うように自分のつらいところを伝えられなかったことなどをお聞きしました。改めて、医療の現場では、人の目を見て、しっかりと会話をすることが大切だということをTさんに教えていただきました。
病気は、気の持ちようで変わると言われています。みなさんの毎日の生活も、会話を通して、ストレスをためないようにすると良いと思います。どうか、みなさんが毎日、元気で健康に過ごされますように、心からお祈りしています。
先日、昔懐かしい仲間との食事会がありました。大学を卒業して、1年目に一緒に外科研修をした同期たちとの二十数年ぶりの再会でした。
私が研修を受けた約30年前は、現在の医師研修制度とまったく違っていました。大学を卒業すると、ほとんどの仲間が自分の大学で研修を受けました。研修する領域は、自分で選んだ専門分野の診療科に限られていました。研修期間は、朝から晩まで忙しく、当直明けは、眠気をこらえて日常業務をこなしていました。
現在は、自分の大学で研修する医師は少なくなりました。ほとんどの医師は、大学を卒業する前に、全国の研修指定病院の中から自分が研修したい施設を選びます。
現在、医師の卒後研修期間は、2年間と定められています。この初期研修期間は、研修指定病院で医師としての基礎を学びます。それぞれの研修指定病院は、優秀な医師を育てるために、魅力ある研修プログラムを提供しています。
この初期研修期間では、自分が将来、専門としたい診療科を研修するだけでなく、産婦人科、小児科、麻酔科など、研修が義務づけられている診療科があります。なかでも、地域医療や救急医療など、様々な病気を診療する期間も、設けられています。
この研修プログラムが始まり、どんな病気にも対応ができる医師が育っています。素晴らしいですね。
これから少子高齢化の時代を迎える中で、専門しかわからない医師を育てるよりも、一人の医師が、子どもからお年寄りまで診ることが出来ることが望まれています。風邪から、打撲、生活習慣病、がんなど、様々な病気を診ることが大切になってきます。まさに、時代にマッチした研修制度で育った医師たちが、これからの医療を担っていくでしょう。
平成25年簡易生命表によると、男性の平均寿命は80.21年、女性は86.61年でした。
しかし、健康寿命は、男性が70.42歳、女性が73.62歳ですから、平均寿命と健康寿命には、まだまだ、差があります
平均寿命と健康寿命との差は、何を意味するのでしょうか。それは、日常生活に制限がある「不健康な期間」を意味すると言われています。平成22年での「不健康な期間」は、男性9.13年、女性12.68年となっています。みなさんの「不健康な期間」は何年でしょう。厚生労働省は、みなさんが住んでいる都道府県、それぞれの平均寿命、健康寿命を示してくれています。一度、見てみるのも良いかもしれません。
みなさんの健康を守る日本の医療体制が今、変わろうとしています。2015年5月27日、医療保険制度改革関連法が成立しました。国の医療費負担を減らすためにいろいろな仕組みが行われるようになります。その中で私たちは、少しでも、医療費を使わないで、自分の健康を自分自身で管理していくようにしたいものです。そのためには、毎日の生活が基本になります。
みなさんも朝起きて夜寝るまでの間、どうやって過ごすか、いろいろと工夫されていると思います。歩き方、仕事中の姿勢、食事の取り方、休憩時間の過ごし方など、ちょっとした心構えで、より良い生活をすることができます。
テレビやインターネットには、体によいと言われるサプリメントや健康食品などの広告が、たくさん出ています。しかし、サプリメントや健康食品など、口から体の中へ入れるものは、慎重に慎重を重ねて、吟味したいものです。
私が、昨年から取り組んでいるのは、この起きている間の工夫に加えて、寝ている間の工夫です。誰でもどこでも、睡眠はとることができます。赤ちゃんでも、サラリーマンでも、
また、平均寿命と睡眠時間についても、いくつかの研究があります。睡眠時間は、短くても、長くてもいけないそうです。睡眠で大切なのは、睡眠の質だといわれています。
つまり、朝から晩まで、起きているときにする工夫と同じように、寝るときにも、睡眠の質を良くする工夫が必要だということです。睡眠の質を良くする工夫は、いろいろあります。例えば、寝るときに靴下をはかないようにする(参照:「寒い季節に熟睡できる五つのコツ」)ことや、枕や布団などの選び方(参照:「目覚めスッキリ…良い睡眠は寝具選びから」)など、いろいろとあります。
どうか、みなさんの健康寿命が延びるように、睡眠を大切にして、お過ごしください。毎日が元気で明るく過ごすことができますように、心からお祈りしております。
第23回日本乳癌学会学術総会主催のイベント「Run & Walk for Breast Cancer Survivors」が7月5日(日)に東京・有明/台場エリアで開催されます。当日は、乳がん体験者をモデルにしたファッションショー「東京Breast Cancer Survivors コレクション」が企画されています。興味がある人は、ぜひ、ご応募くださいね。
(http://ws.formzu.net/fgen/S83963062/)
新潟へ行ってきました。今回は、済生会新潟第二病院が、年2回開催している病診連携の会へ参加するためです。済生会新潟第二病院の10階から眺める風景は、すばらしいものでした。目の前に広がる水田は、キラキラと輝いていました。日本海に沈む夕日に、佐渡がかすんでいました。
佐渡へは、新潟港からカーフェリーで約2時間30分、高速船のジェットフォイルで1時間5分ほどです。直江津港からも高速カーフェリーが出ています。ご存じのように日本を象徴する鳥、ニッポニアニッポンと呼ばれるトキの保護センターが佐渡にあります。また、佐渡の
佐渡には、いろいろな薬草が自生しています。毎年6月に開催される「佐渡カンゾウ祭り」は、漢方薬によく使われる
甘草は、漢方薬の約70%に使われている薬草です。リコリスとも呼ばれる甘草は、砂糖の50倍の甘さがあります。しょうゆやみその甘みは、甘草でつけています。1990年にアメリカの国立がん研究所(NCI)が発表した「デザイナーフーズ計画」があります。この中で甘草は、がん予防に重要性が高い食品のひとつにあげられています。
しかし、甘草には副作用があります。この甘草の副作用は、西洋薬でも起こります。というのも、西洋薬にも甘草は活用されているからです。甘草に含まれるグリチルレチン酸による症状が問題になります。症状は、「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「こわばり」がみられ、これらに加え、「力が抜ける感じ」「こむら返り」「筋肉痛」があらわれ、だんだんときつくなる、と言われています。具体的には、むくみから始まり、だんだんと血圧が高くなるなど、偽アルドステロン症と呼ばれる状態になります。
詳しくは、重篤副作用疾患別対応マニュアル「偽アルドステロン症」を参考にされるといいでしょう。
甘草以外にも、佐渡では様々な薬草が自生しています。
済生会新潟第二病院での講演会では、副院長で外科部長の酒井靖夫先生に、座長を務めていただきました。「がん診療と漢方」をテーマに、約1時間、お話しさせていただく機会を頂戴しました。
病院の内外からたくさんの方に、ご参加いただきました。会に参加していただきましたのは、医師、薬剤師、看護師の方々80人余りでした。私から少しでも多くの医療従事者の方へ漢方医学のよさを伝えることができましたら幸いです。漢方医学が、みなさまの毎日を元気で明るくすることを心からお祈りしています。
今回は、健康について調べるときに便利なサイトをご紹介していきたいと思います。まずは、厚生労働省が運営しているサイトをみてみましょう。
「『統合医療』情報発信サイト」は、健康に関わる様々な情報をまとめたサイトです。民間療法や健康食品など、いろいろな情報を調べる時に役立つサイトです。
テレビやインターネットで紹介される「体にいいもの」が本当に、安全で健康によいのか、疑問になった時に役立ちます。
国立健康・栄養研究所が運営している「『健康食品』の安全性・有効性情報」は、私たちが口にする食品について、世界中の情報を網羅しています。みなさんの食卓にのぼる全ての食品についての情報を知ることができます。海外で売られている薬でも、日本の基準では禁止されているものもあります。ぜひ、活用しましょう。
次は、国立がんセンターが運営しているサイトです。「がん情報サービス」は、すべてのがん情報を調べることができるサイトです。一般の人にわかりやすい情報を提供してくれます。病院でがんと宣告されたときや、知り合いががんにかかってしまったときなど、詳しく調べることができます。
そして、最後は「みんなの漢方」をご紹介しましょう。女性の体調不良を漢方医学でわかりやすく説明してくれるサイトです。ちょっとした身体の不調を見つけることができる、便利なサイトです。特に女性の悩みをわかりやすく解説してくれる「漢方でケアする女性の不調ナビ」は、皆さんの疑問を解決してくれるはずです。
「みんなの漢方」を主催されている増田美加さんは、いつも元気で明るい女性です。増田さんにお会いすると、元気をいただき、ファイトがわいてきます。ぜひ、増田さんのパワーを分けてもらいましょう。
今、インターネットには様々な情報が流れています。しかし、本当によい情報を見つけ出すには、コツが必要です。今回ご紹介したサイトは、すべて信頼性の高いものばかりです。ぜひ、皆さんが元気で明るい毎日を過ごすためにご活用ください。