コラム
寒い季節、みなさんは寝具をどうされていらっしゃいますか。
先日、京都にある400年の伝統を受け継ぐ寝具の老舗を訪れました。数万点に及ぶ寝具の数々を見せていただく機会を頂戴しました。目から
皆さんも冬になって、寒さを防ぐためにいろいろと工夫されていると思います。
足元が冷えるので、靴下をはいて寝る方もおみえでしょう。そんな人へワンポイントアドバイスです。寝るときにはく靴下は、足を締めつけたりしないものを選びましょう。ギュッとしまる靴下を選んでしまうと、逆に足先の血流が悪くなります。また、浮腫の原因にもなりますので、お気を付けくださいね。
「少しぐらい締まっているのならば大丈夫」と考える方も、いらっしゃると思います。実は、これも避けた方が良いのです。ほんの少しの刺激でも人の身体は敏感ですので、反応します。
例えば、靴の中に米粒ほどの小さな石が紛れ込んでいても、みなさんは気になりませんか。寝ている間に、緩やかな締め付けでも体へ刺激が加わります。良い刺激ならばいいのでしょうか、手足を締める刺激は体を緊張させ、ストレスになります。ひいては、足先を冷やす原因にもなりかねません。
寝るときに注意するポイントとして、足元ばかりでなく、首から肩を冷やさないようにすることも大切です。首筋を冷やすと、風邪を引きやすくなりますし、肩こりの原因にもなります。寝るときに首回りにタオル1枚かけて寝るだけで、温かく寝ることができます。
昔ながらのアンカをお使いの方、低温やけどに注意してください。最近では、使い捨てのカイロなどで、低温やけどされる方も多いようです。
低温やけどは、「60℃で5秒程度、50℃で 3分程度、44℃で6~10時間」 (消費庁のホームページ)で起こると言われています。熱く感じない温度でも時間が長いとやけどをしてしまいますので、注意しましょう。
意外と忘れがちなのは、電気毛布の最高温度です。電気毛布の温度は、最高で50℃以上になるものもあります。皆さんがお使いの電気毛布の温度を一度、確認してみてはいかがでしょうか。
そして、温かく夜を過ごす工夫として生姜湯をお勧めします。
寒い季節は体調管理が大切です。とくに注意したいのが肺炎です。昨年の死因第3位は肺炎でした。肺炎は、様々な原因から起こります。小さな子どもからお年寄りまで、肺炎になる危険性があります。
肺炎の原因は様々です。ウイルスによるもの、細菌によるもの、結核によるもの、いろいろな感染症が原因になります。風邪を引いた後、なかなか治らない場合には、肺炎を疑う必要があります。感染症による肺炎ばかりでなく、心臓が原因で起こる心臓
では、肺炎にかからないようにするには、どうすれば良いのでしょうか。まずはワクチンを積極的に受けておくことが大切です。今年の10月から厚生労働省は高齢者を対象に、肺炎球菌ワクチンの接種を始めました。しかし、ワクチンだけでは防ぐことが出来ないものもあります。
そこで、毎日の生活で行うことができる予防策があります。
1. |
2.手洗い |
3.免疫力を上げる |
1.口腔ケア:口の中をゆすぐ、歯磨きをする、うがいをする
口の中にいる細菌が肺炎の原因になります。寝ている間に、口の中の細菌が増えています。起きたときは必ず口の中をゆすぎ、歯磨きをすることで細菌数を減らすことができます。食事の後、食べたものの残りカスを減らすことでも、細菌の増殖を予防することができます。食後は必ず歯磨きをすることをお勧めします。
のどにも、肺炎の原因となる細菌やウイルスがいます。朝起きたときには、うがいをしてノドをよく洗うようにしましょう。外出先から帰ってきたときばかりでなく、商談で人と話した後や友人と会話を楽しんだ後にも、うがいをするのが大切です。
2.手洗い
トイレの後、手を洗うことが習慣になっている方は多いと思います。肺炎を予防するために手を洗う場合のポイントは、手に付いた目には見えない細菌やウイルスを洗い流すことを意識することです。
手すりやドアノブに触れた後、本屋で立ち読みをした後、知らないうちに手は汚れています。汚れている手で、髪の毛を触ったり、顔をこすったりしているうちに、肺炎の原因となる細菌やウイルスが広がっていきます。こまめに手洗いをすることをお勧めします。
手洗いのコツは以前、このブログに書かせていただきましたので、参考になさってください。
3.免疫力を上げる
現在、病院に通院されている方は、いろいろな意味で免疫力が落ちていると思います。病院へ通院されていない方でも、疲れていたり、寝不足だったり、精神的ストレスがあったり、いろいろな原因で免疫力が落ちていると思います。様々な原因で、免疫力は落ちてしまいます。
では、免疫力を上げるためには、どうすれば良いのでしょうか。とくに寒い冬、肺炎を予防するために心がけたいのが、体を冷やさない、体を温めることです。体を温めておけば、免疫力を活性化させておくことができるからです。
体を温めるためには、外出するときに服を重ね着することも大切ですが、体の芯から温めることが重要です。例えば、簡易カイロを貼る場所をヘソの上にしてください。体全体を温めるためには、血液を温めることが効率的です。ヘソの位置には大動脈があります。大動脈を温めることで、血液を温め、体全体へ温まった血液を送ることができます。
体を温める方法は、わたしの著書「上体温のすすめ」にも、詳しく書かせていただきましたので、ぜひ、ご参考にしてください。
今年はデング熱、エボラ出血熱と聞き慣れない感染症が流行しました。インフルエンザも、昨年より早く流行しています。どうか、口腔ケア、手洗い、免疫力を上げることを毎日の生活に取り入れてください。そして、元気で健康な毎日をお過ごしください。
みなさんは、年末年始をどう過ごされる予定ですか。里帰りをされる方、年末ぎりぎりまで仕事がつまっている方、日頃の疲れをとるため、のんびりと寝正月を考えている方など、様々だと思います。
今年の年末は9連休になります。この機会に海外旅行を計画されている方も多いと思います。海外旅行では毎年一番人気がある場所が、ハワイだそうです。みなさんの予定はいかがでしょうか。
この季節になると海外旅行へ行かれる方から、「どんな薬を準備していけば良いのでしょう」とよく相談を受けます。わたしはいつも、みなさんへ胃薬、整腸薬、風邪薬、外用薬、湿布薬、
・胃薬:食あたり、食べ過ぎ、胃のもたれ、消化不良など |
世界各地の料理を舌で味わう、その国でしか食べることが出来ない料理を地元の音楽を聴きながら楽しむなど、「食」は、旅行の
胃腸の調子を調節するときに、重宝するのが、
ホテルのクーラーが効きすぎてのどが痛くなった、旅の疲れが出て体調を崩したといった原因で風邪を引いてしまう方が多いようです。また、飛行機の中やバスでの移動は、ウイルス感染症にかかりやすい環境が続きます。こんなときは、漢方薬で対応しましょう。
日頃から風邪を引くと(1)ノドから悪くなる人は
知らない土地で、見たことがない虫に刺されたり、気づいていたらかぶれていたりといったことがあります。肌のトラブルだけでなく、歩きすぎで靴ずれができるなどトラブルが起きやすいものです。
ちょっとした切り傷や擦り傷など、絆創膏とセットで必要なのが軟膏です。
漢方薬には
旅行の楽しみはすばらしい景色を堪能することだという方が多いと思います。名所旧跡巡りや映画で見た場所を訪ねるなど、意外と歩く距離が長くなるものです。関節が痛くなったり、こむら返りを起こしたりします。こんなときは、
・胃薬 整腸薬:半夏瀉心湯 |
今年もあとわずかになりました。せわしない気分になりますが、毎日の生活を元気で健康に過ごすため、どうか、身体を大切にお過ごしください。漢方医学の
医療従事者には、さまざまな国家資格があります。みなさんは、その国家資格のひとつであるMEって、ご存じですか。MEは、Medical Engineer の略です。これは臨床工学技士と呼ばれる資格です。科学の進歩に合わせて、医療現場には様々な最先端技術が使われるようになりました。臨床工学技士は、医療に関わる機械を管理する重要な仕事をしています。
体調が悪くなって病院へ行くと、点滴を行う場合があります。1~2時間、外来でポタポタと水滴が落ちてくるのを眺めながら、静かに体が治るのを待ちます。その時、小鳥箱のような機械がついているのに、気づかれた方がいらっしゃると思います。あの小鳥箱は点滴が時間通り、決められた量で落ちるように制御する機械です。
小さな子どもでは、ちょっとした水分量の違いで心不全になってしまう場合があります。手術中では、水分量の調節が重要なポイントのひとつになります。この点滴の水分量を調節する機械をメンテナンスするのが臨床工学技士です。
わたしは臨床工学技士になるための学校で長年、
漢方医学では、同じ病気でも同じように治療することはありません。同じ病気に同じ薬ならば、医師でなくとも、コンビニエンスストアで買い求めることが出来ます。しかし、漢方医学では、同じ病気でも患者さんの体と心の状態によって、薬を変えます。
同じように、医療機器を単なる機械として扱うのではなく、ひとつひとつの機械の調子を見ながら、メンテナンスをする必要があると思います。同じ機械でも同じように壊れるわけではありません。新しい機械は、周辺機器とうまく協調して作動するかが大切です。古い機械は具合の悪いところを中心に管理することが大切です。同じ機械でも、扱いは異なります。
血液透析の機械や心臓の手術に使う人工心肺装置などを管理している臨床工学技士は、医療現場にはなくてはならないスタッフです。医師が患者さんを対象とするように、臨床工学技士は機械を扱います。このとき、漢方医学を学ぶことで、患者さんと同じように医療機器を扱えるようになってもらいたいと考えています。
わたしは昭和37年生まれの52歳です。自分ではまだまだ働き盛りと考えています。有り難いことに、これまで病気らしい病気はしたことがありません。しかし、先日、高校時代の同級生が「がん」になったとソーシャルネットワークで知りました。
「がん」という言葉に仕事柄慣れているとはいえ、同級生の病気には少し考え込んでしまいました。
長寿世界第1位の日本では、2人に1人が「がん」になるといわれています。では、がんになりやすい年齢は何歳でしょう。
統計を見ると、52歳の死因は第1位=悪性新生物(がん)、第2位=心疾患、第3位=自殺です。やはり、死因の第1位は「がん」です。実は、一生を通じて死因の3位以内に「がん」があります。つまり、10代でも、20代でも、30代でも、「がん」にかかる危険性があるということです。
「がんにならないようにするには、どうすればいいのでしょうか」と質問されます。聖人君子のような生活をすれば、がんにならないのでしょうか。仙人のように
わたしは、少しでも健康でいることが大切だと考えています。健康であれば、免疫力もしっかりと保たれ、小さながん細胞ならば、自分の力で退治することができるからです。健康な毎日を過ごすためのポイントは、人それぞれ、見つける必要があります。
健康に暮らすヒントは、寒い時期、風邪を引かないようにすること、暑い時期、夏ばてをしないようにすること、です。健康に暮らすヒントは日常生活に隠されていると思います。
わたしが医師になった約25年前と比べ、医学は飛躍的に進歩しています。血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを使えば、非常に早期のがんを発見できるようになりました。そこで、わたしは現代医学を十分に活用して、早期発見・早期治療することを勧めています。
以前なら、見つけることができなかった小さな胃がんも、電子内視鏡を使うことで診断できるようになりました。早期に見つかった胃がんは、お
がんになった同級生のSくんはその後、手術も無事に終わって元気になり、仕事にも復帰しています。これまで無病息災だった彼は今回の病気をきっかけに、これからの人生を一病息災として、元気で健康な毎日を過ごしていくと思います。Sくん、回復、おめでとうございます。
昨年よりも15日早く、10月27日夜、東京に木枯らし1号が吹きました。日に日に寒さが増す今日この頃、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。乾燥したこの時期になると、肌のかゆみを訴えてクリニックへお見えになる患者さんが増えます。
肌のかゆみの原因は様々です。肝臓や腎臓の病気、アレルギー、虫刺されなどによって、肌のかゆみが起こることがあります。時には、精神的ストレスが原因となり、かゆみとして症状に出る場合があります。
女性の場合は、月経周期に合わせてかゆみが出ることがあります。また、入浴して身体が温まるとかゆみが出る場合と、冷たい風に当たるとかゆくなる場合があります。
肌のかゆみの原因は様々で、原因を見つけるのに苦労します。
秋から冬にかけては空気が乾燥しています。乾燥もかゆみの原因になります。
背中や手足がかゆくて眠れない。ストッキングをはくと肌がガサガサしてむずがゆい。首回りや服のこすれる場所がかゆいーーといった症状は、肌の乾燥が原因であることが多いと思います。この乾燥からくるかゆみには、保湿が一番効果的です。
先日、Kさんという患者さんが「いくら皮膚科で薬をもらっても、よくならない」と訴えて来院されました。Kさんは70歳を超えた男性で、肌を診察すると乾燥していましたので、「乾燥が原因ですから、ワセリンで保湿すると良いと思います」とお話ししました。すると「ワセリンならもう試したが、全然効果がなかった」とお答えになりました。そこで私はワセリンの使い方を説明しました。
革製品の手入れに使うワセリンは、ベトベトしています。乾燥した肌にワセリンを塗ると、ほんの少しでもべたついてしまい、なかなかうまく使うことが出来ません。
ワセリンを使うときには、コツがあります。
1.入浴後、5分以内にワセリンを塗る
2.タオルで身体を拭く前に、ワセリンを塗る
このふたつを守って、ワセリンをかゆい部分に丹念に塗ります。水分が足りなかったり、ワセリンが多すぎたりすると、ベタベタしてしまいます。かならず、水滴が肌についている状態で、塗るようにしましょう。
2週間後にお見えになったKさん、ニコニコ顔で診察室へ入って来ました。「あれだけ苦労したかゆみが、ワセリンで治ってしまいました」と
「以前、ワセリンを使ったときは効果がなかった。今回、ワセリンの使い方を教えてもらった方法で塗ってみたら、1週間でかゆみが消えました」と、ワセリンが乾燥肌(ドライスキン)を治してくれたようです。
日本では、四季折々の自然を楽しむことが出来ます。それぞれの季節によって、肌の状態も変わります。秋から冬にかけては乾燥対策が大切です。ワセリンを使って、保湿をすることで、からだのメンテナンスをしましょう。
肌のかゆみがなくなると、夜もぐっすり眠ることが出来るようになります。かゆみがなくなることで、寝不足がなくなり元気になります。ぜひ、試してみてはいかがでしょうか。
今年も後、残すところわずかになりました。わたしは部屋の整理や掃除をはじめました。みなさんが年末に行う大掃除をこの時期にやっています。年末の慌ただしい時期に、片付けを行うと、どうしてもやり残したことが出来てしまうからです。
家の中の片付けと同じように、この時期に、自分の体の総点検をされてはいかがでしょうか。
健康のバロメーターは、消化器系にあります。
食べ物をうまく消化、吸収することが、元気の源になります。消化器系とは、口から肛門まで、食べ物が通過するところをいいます。
(1)口のチェック:まずは、口の中を自分の舌を使って、くまなく確認します。歯の裏側は簡単ですが、頬と歯の間を舌で確認するのはけっこう時間がかかります。毎日、歯磨きをされている方は、口の中の状態をチェックしてみましょう。歯磨きの後、出血はありませんか。歯がしみたり、痛んだりする場所はありませんか。知らないうちに歯石がたまっているかもしれません、口の中に、少しでも違和感があるようでしたら、かならず歯科医師に相談しましょう。
舌の状態も、大切なポイントになります。以前、このブログでもご紹介させていただいたように、舌の表面を見ることで、胃の調子を知ることが出来ます。
(2)食道から胃のチェック:仰向けに寝て、両手でみぞおちから下をゆっくりと触ってみましょう。このとき、大切なのは、強く押さないことです。みぞおちの部分には、胃があります。正確に言うと、胃に肝臓が重なり、横行結腸が乗っかっています。胃の裏側には
みなさんの中には今年、バリウムや胃カメラの検査を受けた方もいらっしゃるかもしれません。わたしは、がんを見つけることが仕事ですので、心配な方には必ず胃カメラを受けてもらうようにしています。バリウムで、見落としがちな病気も胃カメラなら見つけることが出来るからです。
(3)小腸のチェック:みぞおちに置いた手のひらをゆっくりとヘソの方へ移動させましょう。ちょうど、みぞおちとヘソの間付近に小腸があります。これまで小腸の検査は難しく、病気を見つけることが困難でした。しかし、最近はカプセル内視鏡が発達したお陰で、簡単に検査を受けることができます。興味のある方は医療機関にご相談ください。
(4)大腸から直腸のチェック:ヘソまで来た手のひらを時計回りにお
大腸の内視鏡検査やバリウムの検査は、たくさん下剤を服用してから行いますので、なかなか受けるのに勇気が必要です。しかし、しっかりと病気を見つけるためには、必要な検査です。
(5)肛門のチェック:肛門をギュッと締めてみてください。力がうまく入りますか。肛門の機能は、年齢と共に、低下してきます。肛門括約筋の力も落ちてきます。肛門括約筋の力が落ちると、便が漏れるようになるほか、尿の漏れにも関係します。
排便時に、出血がある場合、色を確認します。明るい色をしている場合は、肛門に近い場所からの出血が疑われます。黒い色の場合は、奥からの出血が疑われます。また、便のかたさも重要です。便の硬さを表現するのは、難しいことが多いと思います。そこで、ブリストル分類を活用します。「水のような便」「泥のような便」「便器の水に浮く便」「ソーセージやバナナのような便」「表面にしわやひび割れがある便」「ウサギの便のような硬い便」といった具合です。こうした便のかたさによって、食事の取り方の問題点を見つけたり、内服している薬の副作用などがわかったりします。
健康は、毎日の生活の中で築きあげていくものです。1年に1回はかならず、自分で自分の身体の状態をチェックしましょう。そして秋になったら、体の汚れを大掃除してみてはいかがでしょうか。この時期に異常を見つけておけば、年内にすべて解決することも出来ます。ぜひ、早め早めのチェックをお願いします。
わたしの健康の
どの時代も、お金や名誉を十分に手に入れた人や貧しい人が、最後に望むものは、元気で健康な身体です。秦の始皇帝が追い求めたもの、クレオパトラや楊貴妃が望んだ元気で健康な生活を手に入れるには、どうすればいいのでしょうか。始皇帝が
テレビやインターネットにある魅力的なうたい文句に踊らされて、簡単に手に入る方法で、健康を手に入れられるとは思えません。健康管理に大切なことは、わたしたちひとりひとりに合った方法を見つけることです。それが「上体温のすすめ」です。
毎日の生活の中で、身体の調子を気にしている方は多いと思います。
「朝起きたら体操をして体調を整える」「朝食は必ずとるようにしている」「通勤はウォーキングシューズを履いて速足で歩いている」「仕事のストレスをためないように、努力している」「身体の疲れをとるために、毎日、入浴している」「睡眠は、しっかりとる」などなど。ひとりひとり健康管理で、大切にされているポイントがあると思います。しかし、あなたのその健康法、本当にそれでいいのでしょうか。
はじめてはみたものの、三日坊主で終わってしまう健康法は、あなたには合っていないと思います。
では、あなたに合った方法は、毎日努力して、苦労して続ける方法でしょうか。お金をかけて手に入れる方法でしょうか。特別な器械を使ってする方法でしょうか。
努力して苦労する方法は、長続きしません。お金をかける方法は長続きしません。特別な器械を使う方法は、誰にも出来る方法ではありません。
わたしが考える健康管理は、みなさんが毎日の生活の中で、簡単にできることでなくてはいけないと思っています。わたしが考える健康管理は、誰でもどこでも出来る方法でなくてはいけないと思っています。私が考える健康管理は、あなたがいまから、すぐにできる方法で、何も準備しなくても出来る方法です。努力も苦労もいらない、そんな健康管理でなくてはいけないと思っています。
例えば、「野菜は形よりも色で選ぶ」「常に利き腕とは逆の腕を使う」など、私が提案する上体温は、お金をかけずに長続きするものばかりです。
「上体温のすすめ」は、みなさんひとりひとりにとって、体温をうまく調整することを考えるヒントです。年齢や性別、職業や生活環境によって、健康法は違うはずです。昼間働く人と、夜働く人は、食事や睡眠をとる時間が違います。日本に住んでいる人と地球の裏側に住んでいる人でも、同じように行うことが出来る健康法が、「上体温のすすめ」です。
わたしの健康の秘訣をすこしでも、多くの皆さんにわかっていただくために、様々な角度からまとめさせていただきました。そして、「からだを温める」ことの重要性をみなさんに理解していただくために、漢方医学の知識を交えて温め方を提案させていただきました。それが、このほど
この本がみなさんひとりひとりに合った方法を 自分自身の力で見つけられるヒントになれば、幸いと考えます。「からだを温める」ことを大切にして、元気で健康な生活を手に入れてください。
「白衣の天使」の
病気を治すのは、医師だけではありません。看護師さんの「ナイチンゲール精神」が、病気や
一番に患者さんの気持ちを考え、患者さんに寄り添い、患者さんのために働く看護師さんは、医療現場になくてはならない存在です。看護師さんは、医療現場で導入されつつある「チーム医療」の大切な一員です。
医療が日進月歩で進む中で、診療にも電子カルテが導入されるようになりました。看護記録も、「手書き」から「パソコン」へ変わってきました。アナログの「手書き」では、患者さんが訴えた言葉や数字には表れない身体の変調など、1日として同じ状態ではない体の状態を書き留めることが出来ました。しかし、デジタルの「パソコン」となると、入力する項目が決められています。
マニュアルに沿って観察したことを数字に置き換えて入力したり、チェック項目を埋めていったりするようになりました。これまで、看護師さんが実際に手で触れ、肌で感じていた情報は、電子カルテになったために、記録することが難しくなってしまいました。電子カルテは、入力する項目が決められています。電子カルテでは、項目に当てはめることが難しい症状や患者さんの状態を管理できなくなってしまったのです。
これまで患者さんの心と身体を直接みながら看護し、患者さんの家族のことまでも考えていた看護師さんも、情報のデジタル化によって、せっかくの大切な情報を記録する方法がなくなってしまいました。五感で感じていた患者さんの状況は、情報のデジタル化によって、捨てられるようになってしまったんです。
そこでわたしは、看護師さんたちに、看護の基本を思い出していただければと、漢方医学を使ったプログラムを始めています。
現在の看護学校では、漢方医学を学ぶ機会はほとんどありません。このため、看護師さんたちは、漢方医学についてはまったく知識と経験がなく、医療現場で使われている漢方薬の扱い方に困っていました。昨年、わたしは看護師向けの専門誌に漢方医学について1年間、連載をさせていただきました。この連載をきっかけに、今年は「看護師さんに必要な漢方医学の知識が何か」を考え、プログラムを作らせていただく機会を得ました。このプログラムで漢方医学を学んでいただくのは、首都大学東京と聖路加国際大学の看護師さんたちです。
漢方医学は、アナログな学問です。アナログゆえに、看護師さんが肌で感じたことを表現するにはもってこいの学問です。顔色、肌のつや、精神的な変化など、ちょっとした変化を漢方医学では、大切にします。そして、漢方医学は、その変化を言葉として記録する方法を持っています。わたしが考えたのは、この方法を活用して、情報をデジタル化する試みです。この方法を活用することで、記録することが難しかった情報を電子カルテに記録し、医療チームで共有することができるようにすることです。
看護師さんが、看護学に漢方医学を取り入れることで、より良い看護ができるようになるでしょう。患者さんたちのために漢方医学という古い学問が、デジタル社会で再び活用され、看護師さんの役に立つ。これこそが、わたしの教育プログラムの目的です。
みなさんは、季節の食材を楽しんでいますか。「食欲の秋」、山の幸や海の幸などたくさんの季節の食材が食卓をいろどります。今回は、その中でも、とくに体に良い食材をご紹介します。
最近の日本人は、西洋的な食事に慣れ親しんできたため、肉料理が多くなっているそうです。残念なことに、農林水産省の統計でも、日本人ひとり当たりの魚消費量は、年々、減ってきているそうです。安価で
アジ、イワシ、サバ、サンマなどの秋に旬の魚たちは、血液をさらさらにしてくれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれています。冷たい海水の中で生きている魚の体の中でも、固まることなく潤滑油の役割をしている油が、EPAとDHAです。EPAとDHAは、わたしたち人間の体の中でも固まりづらいため、血管の壁にこびりついたり、沈殿したりすることがなく、動脈硬化になりにくいと言われています。
EPAは、中性脂肪を減らす作用があることから、高脂血症の治療薬として使われています。DHAは、脳や神経組織の発育や機能維持の効果があります。
EPAとDHAは、人の体では作ることが出来ない栄養素ですので、食品としてとることが必要です。
魚に含まれるEPAとDHAを合わせて、1日に1000mg以上、摂取するのがよいとされています。目安としては、アジ(小ぶりのもの)3匹、イワシ(マイワシ)1匹、サバ1/4匹、サンマ1匹、になります。調理方法は、さしみでも、焼き魚でも大丈夫です。EPAもDHAも、熱に強い性質を持っているため、加熱しても損なわれることがありません。
海の幸に山の幸であるシイタケを組み合わせると、さらに効果的です。シイタケは、食物繊維が豊富で、ビタミンDやβ(ベータ)-D-グルカンを多く含んでいます。ビタミンDは、腸からのカルシウムの吸収を助ける働きをします。β-D-グルカンは、免疫力を上げる効果があります。このビタミンDやβ-D-グルカンも、熱に強い性質を持っています。魚と一緒に調理して、美味しくいただきましょう。
お昼のランチを選ぶときやお弁当を作るとき、秋の食材を選択することで、簡単にワンランク上の健康管理が可能です。わざわざ高いお金を出してサプリメントや健康食品を購入するのではなく、毎日の食生活を見直すことから始めてはいかがでしょうか。